今週は全校朝礼から始まりました。今日のテーマは「人生の予行演習」でした。スペインと日本の失業率から、それぞれの国の仕事をする大切さ、道徳観を考えました。
また、生活指導主任から来年度へ向けた防寒着の決まりについて説明がありました。これまでたくさんの時間をかけて、生徒会、中央委員会のメンバーで話し合いを行ってきました。ありがとうございました!
真剣な表情でお話を聞いていました。 |
生活指導主任のお話の様子です。 |
朝礼講話
生徒の皆さん、おはようございます。
以前生徒の皆さんから道徳授業について、こんな意見をいただきました。「道徳授業では、いろいろな意見を大切にといいながらも、どうしても模範解答に縛られてしまうのではないか」という意見です。まずは、意見をくださってありがとうございます。
道徳の授業では、どれが正解かというものはありません。ただし、多くの人が「そうだよね」と思うような、模範解答的なものはあります。でも、それはあくまでも参考であり、自分自身の正解を持つことが大切です。
長い人生の中には様々な出来事が起こります。その時々でどう判断するかが問われます。そのときに道徳授業で自分が考えたことが参考になると思います。判断に迷う時は、多くの人が「そうだよね」と思う模範解答的なものも参考になるかもしれません。道徳の授業は人生で起こり得る様々なことに対する予行演習、リハーサルともいえるでしょう。
でも、その模範解答的なものも時にはお互い矛盾するときもあります。次の2つです。それは、「命の大切さ」と「働くことの尊さ」です。どちらも大切なものです。
日本では多くの人が一生懸命働くことを大切にしてきました。その結果、経済も豊かになり、多くの素晴らしい製品やサービスを生み出してきました。これらは働くことの尊さを大切にしてきたからだと思います。
一方で、仕事に行き詰まり自ら命を絶って人が多いという実態もあります。たとえば、仕事を失う失業により命を絶ってしまう人、失業まではいかなくても多くの仕事を抱え、「もう無理」と言えずに命を絶ってしまう人が後を絶ちません。特にコロナ禍でまた増えています。
これらは、命を大切にするという模範解答と仕事を大切にするという模範解答がぶつかり合い、矛盾していると思います。
仕事がきつかったら、命を絶つのではなく、「できません」、「きついので辞めます」と、なぜ言えないのか、また、仕事を失っても、「何とかなるよね」となぜ言えないのか、このことが我が国の現状であり、大きな課題です。
でも、世界には全く違う国もあります。このグラフを見てください。失業率と自殺者の増加の割合です。スペインでは失業率が5%から多いときは25%です。それに対して日本の失業率は常に5%以下です。でも、スペインは、失業率がいくら高くなっても自殺者数は増えません。日本は失業率が少しでも上昇するとそれに伴って自殺率も急激に上がってしまいます。
スペインも日本も共に先進国ですが、スペインでは、失業したとしても、命を絶つことはありません。このスペインはひとつの例ですが、いろいろな価値観、模範解答があっていいのです。道徳の授業を通して、自分なりの模範解答を見つけていってください。でも、命を大切にする価値観はだれもが最優先にしてほしいですし、そういう社会を築いてほしいと思います。