今週は全校朝礼から始まりました。今回のテーマは「新島の行事食」です。12月7日、8日に十三社神社で行われたお祭りについて、校長先生からお話を聞きました。
画像を見ながら勉強しました。 |
3つのおにぎりには、それぞれ意味が込められています。 |
生活指導主任の先生からは物品の使用についてお話がありました。後世のために大切に使いましょう! |
生徒の皆さん、おはようございます。
はじめに、今週のどこかで、「体罰など暴力を受けたことはないか」について調査をしますので、協力してください。その調査に先立って、「暴力はいけないよ」という話をします。でも、暴力がいけないことは皆さんなら分かっていますね。そこできょうは、暴力をなくしていくために、「人にやさしくしていこうね」というお話をします。
そのお話は、新島の行事食に関連します。おそらく「モヤイの心」の原点だと思います。毎年12月8日に十三社神社で行われている例大祭ですが、その前夜祭となる宵宮の行事食を紹介します。
本来この宵宮は、例年ですと夜店が出たり、舞台で踊りが披露されたりと、大変にぎやかなお祭りで、子供から大人まで村の皆さんが楽しみにしているものです。ところが、去年と今年は感染症の影響により、神様にお祈りする儀式だけとなりました。
この例大祭は、内地でいうと11月の勤労感謝の日に行う新嘗祭(にいなめさい)にあたります。新嘗祭というのはその年のお米が収穫されたことへの感謝の気持ちを表す「収穫祭」です。
では、どうして新島では12月に行われるのでしょうか。新島ではお米は取れませんが、クサヤの原料となるムロアジ漁が11月までが最盛期になります。また、サツマイモの収穫も11月下旬が最盛期になります。ですから、ムロアジ漁とサツマイモの収穫が終わった後の12月に行われるようになったようです。
その行事食ですが、この写真を見てください。これは、12月7日の十三社神社で行われた、師走祭りの前夜祭である宵宮でふるまわれたものです。伝統的な行事食です。 「クサヤ」、「みかん」、そして「白米の塩おにぎり3つ」です。
クサヤが行事食であることは分かると思いますが、みかんはどうしてでしょうか。このみかんは、社務所の広い42畳の部屋にミカンがたくさん敷き詰められます。これは、魚の群れを表し、豊漁を願うものです。海との関わりが強い新島らしいですね。
では、おにぎり3個の意味は何でしょうか。新島では白いお米は大変貴重なもので、この師走祭りに参加した人が持ち帰ることのできる大切なお土産です。3個のうち1個はその場で自分がいただきます。もう一つは家族の分です。では、もう一つは誰の分でしょうか。この夜、流人たちは十三社神社の大鳥居の前までやってきます。そして、そのおにぎり一つは、流人に分け与えたのです。
流人は確かに罪を犯してしまった人たちです。でも、当時の新島の人たちは、流人にもおにぎりを分け与え、村人全員が自然の恵みに感謝してきました。素晴らしい伝統です。
現在、流人制度はなくなりましたが、でもその精神はモヤイの心となり、400年以上受け継がれて、現在に至っています。
みなさんもこの素晴らしい伝統をもつ新島に住み、育まれているということに誇りをもってほしいと思います。そしてそのやさしさの伝統は、暴力をなくしてくれることと思います。
終わります。